2025-05-09

クスナミキのフォリー

― 高千穂通りあずま屋デザインコンペ応募作品 -

宮崎駅から橘通りへとつながる高千穂通りは、清潔感のあるゆったりとした街路だ。  
長い時間を掛けて育てられたクスナミキ の木漏れ日が歩道に揺らぎ心地好い。
沿道には整然とオフィスビルが立ち並び都市の風景を形成しているが、喧騒はなく    
ゆったりとした時間が流れている印象だ。中心市街地にありながらクスナミキ を通して
広い青空を望むことができる。


あずま屋の計画は、予定敷地の形状、東西に伸びる高千穂通りの軸線に素直に沿った
4枚の木の壁(CLT)を配置した。CLTはクスナミキ をオマージュしたアーチ状に
カットされ、少しユーモラスで親しみやすい形状とした。
既存の空間のノイズにならず、風景に馴染む事も意識している。

あずま屋は、バスの待合所、通りを行く人々の休憩の場、雨宿りや待ち合わせの場と共に
様々な交流の場としても活用が考えられると思う。
ベンチに腰掛けてガラス屋根を見上げた時に、クスナミキ を通して青空を望む。
都市空間において自然を感じることが出来る場所。
地域の持つ素朴さ、そして都市空間の洗練を併せ持つ居心地の良い空間を目指して
「クスナミキ のフォリー」と名付けた。

「外壁のカラーバリエーション」

「機能アイデア提案」

構造は県産材を加工したエンジニアードウッド(CLT)を採用した。
幅6.7m×高さ2.7m×厚み9センチのCLTを、NCルーターにより指定の形に切り抜く。
カットされた4枚のCLTパネルを鉄筋コンクリートのベタ基礎に設置したペースプレートにセットし、
梁間方向にルーバー状にCLTパネルをグルーインロッド工法により固定、
安定した構造体に成ると共に、陽よけとしての機能も果たす。
そして、加工工程を工場で行い、現場では組み立てのみを行うことで工期の短縮化も実現。
また大きな開口部とスリット状に配置された壁により死角が少なくなり、
バス利用者や自転車利用者の安全性を確保することができる。
経年変化が想像されるCLTは浸透性木材保護塗料(WP)の定期的な塗布により美観を保つ事を考えている。
設置予定の6箇所のカラーを変えることでより印象的なものとなるでしょう。
ガラス屋根については遮熱ガラスフィルムと布製のタープを設えることで夏季の日射対策としている。

令和7年2月

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